2022/02/04号掲載
国際貢献よもやま話 『バングラディッシュ竜巻災害救援編』vol.2
この紙面をお借りして私の国際災害医療支援時の体験談(感動したり、失敗したり、怖い話)をこれから取り上げてお話をしたいと思います。
さて前回は、中央アフリカのルワンダ難民支援活動の話しをしましたが、今回はバングラディッシュ(東インド)の竜巻災害の話しをしたいと思います。
竜巻災害で、被災国に入りましたらすごいことになっていました。
木の葉・枝は吹き飛ばされ、樹木の皮まではぎ取られ丸裸なのです。コンクリート作りの小学校は全壊でまるで津波にのみこまれたようです。
また、現地の住民の家は、屋根も壁も全てトタン板で作られているため竜巻の強風によりトタン板が、空中に舞い上がり刃物になって住民に襲い掛かり、運ばれてくる患者さんは「切傷」・「創傷」・「骨折」の方々がほとんどでした。
この竜巻災害の発災から3日後、我々は首都「ダッカ」北西部のタンガイル県総合病院への派遣要請が有り、この総合病院の中庭にエアテントの診療所・処置室・待ち合い場を設けて患者の受け入れ態勢を作る予定でいました。
現地時間午前11時、病院に到着、トラックに分乗した2.5tの資材の荷下ろしが始まりました。
しかし、この時「異変」と「不安」を感じました。
それは、我々が助けに来ているのに、現地のパートナーが誰も手助けしてくれないのです。彼等は、涼しい木陰で寝転んで我々を見つめているのです。
我々医療チームは、早急に診療所を開設しなくてはならず、ハイテンションで設営が始まりました。
それから1時間もしないうちに、私に「めまい」が起こりました。立って仕事が出来ません。「ハイハイ」移動で建物の日陰に避難しました。それから同様に隊員の看護師も倒れ始まり、グループの3〜4人が「熱中症」に罹ってしまったのです。
午後3時近くになると木陰で休んでいた彼等は、この時を待っていたかの様に「モクモク」と手助けが始まり、この事だったのだと現地の人たちに教えてもらいました。
我々は、早く助けてあげたいと言う「ハイテンション」と「使命感」の熱い行動がいかに危険で有る事が良く分かりました。昔の「現地の人達の郷に従え」のことわざの通りでした。
その後の他国の派遣で、チーム編成時の「リーダー」と「隊員」がやる気で熱くなっている時に、私は初日から休みを取るようにしています。
この時、皆さんに「ジイーット」にらまれますが、バングラディッシュのこの経験から「冷静さ」を取り戻せる話をすれば皆さんは納得して下さいます。
最後になりますが、皆さんが外国の熱い国に行ったら「お昼休み」は必ず取る事です。
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